2001年宇宙の旅
2001 : A SPACE ODYSSEY
解説
『2001年宇宙の旅』は、スタンリー・キューブリック監督による映画作品である。本編152分(序曲、休憩音楽、終曲を含む)。主演ケア・デュリア。原作はアーサー・チャールズ・クラークの同名小説。日本では1968年に公開された。
公開された年は1968年。NASA(アメリカ航空宇宙局)が人類初の月面着陸を果たすのは翌年、日本では安田講堂を舞台にした学生運動もまだ起きていない。映画監督のスタンリー・キューブリックが、アーサー・C・クラークの短編SF小説「前哨」(宇宙飛行士が惑星探査の途中でピラミッド型の建造物を発見し、未知の文明の存在を確信する話)を読んで、SF映画の企画をもちかけたのがきっかけといわれる。完成したのがこの映画であり、クラークは映画についてキューブリックと交わしながら、同時進行で映画の原作本を書き上げた。原作本は映画公開の半年後に出版された。2001年宇宙の旅は、SF大作として広く一般に知られている。また、難解な映画の代表としても知られる。2時間を超える上映時間の内、セリフが登場するのは始まりから30分後。太古の時代に猿人が放った骨が、一瞬にして数百万年後の果てない未来へ飛ぶ(映画史における優れた場面のひとつといわれている)、更にその後である。会話のある場面は、映画全編を通しても40分ほどである。登場人物よりもコンピュータのHAL(ハル)がよく喋る。終いには命乞いまでする。セリフが少ない代わりに、見事な宇宙空間の映像と荘厳なクラシックが延々と鳴り響く。 本編で登場する宇宙の場面(宇宙船やロケットの構造、宇宙服、ビジネス・スーツ、靴、髪型、通信、会議室、椅子、机、コップ、食事、睡眠、排便、運動、余暇など)の全てに科学的根拠を求めている。しかもキューブリックの美意識に適ったものでなければならない。見た人の何%が気づくか分からないが、時刻の設定も、地球と連絡の取りやすいワシントンDCと同一に設定されているという。撮影や編集にコンピュータ技術が使えない時代なので、宇宙の映像は手描きのアニメーションで作られた。実際に宇宙ステーション云々が実現した場合に絶対にありえない、発生しえない映像が、宇宙場面の中に数点あるといわれる。撮影や設計のミスという声も、製作当時の1960年では予算や技術の問題で不可能だったとする声もある。キューブリック映画史上最も難解で美しく、退屈で意味不明な映画かもしれない。累計興行成績は、全世界で1億9,070万ドルとなっている(2001年1月現在)。のちに小説と映画両方で、続編が何本か制作されたが、その時の映画はキューブリックの手を離れ、別の作品として公開された。
日本国において、文部省(現在の文部科学省)が「特選」に指定した唯一のSF映画である。
あらすじ
原始時代。生命の危機に瀕した猿人がモノリス(石碑のような黒い物体)により知恵を与えられ、獲物を骨で殴打して殺す。空に放たれる白い骨。それが一瞬のうちに宇宙空間に浮かぶ白色の細長い宇宙船へと変わる。
2001年。旅客用宇宙飛行機オリオン号がケープケネディ空港から宇宙ステーションに向かって飛び立った。旅客機の中にはフロイド博士がいた。彼は最近月面で発見された謎の物体について専門技術者や学者達が月の基地で開く会議に出席するのである。約1時間後、第5ステーションに到着した。やがてフロイド博士は月宇宙船エアリーズ号に乗り換え、2日後に月世界に到着。月の基地では謎の物体を巡る議論に花が咲いた。博士は物体をその目で確かめるため、数人の科学者とともに、問題の場所、テイショ火口に行った。現地では石碑のような物体が発掘され、木星に向かって強烈な電波を発射していた。その事件を調査するため、科学者達は、宇宙船ディスカバリー号で木星へ旅立った。宇宙船を操縦していたプール飛行士とボウマン船長は、HAL(ハル:宇宙船を制御するコンピュータ)からのただならぬ注意信号を受信。2時間半後に宇宙船に故障が起こる、というのだ。プール飛行士はスペースポッドに乗り込みアンテナを取り換える。ところがHALはまたもや次の故障が起こると予言。プール飛行士は再びスペース・ポッドに乗りアンテナ取り換え作業を始めるが、今度は彼自身に事故が。宇宙服の命綱が切れて暗黒の宇宙空間に放り出された。ボウマンは、もう1隻のスペース・ポッドに乗り、プール飛行士を助けに行くが、ややあってHALが事故の元凶と察する。人口冬眠中の他の乗組員は次々と死んでいく。孤独な戦いの末にユニットを外すことで停止させHALを壊し、宇宙の果てへ向かった。
木星、無限の彼方、そしてスター・チャイルドに。
出演者
デイヴィッド・ボウマン | ケア・デュリア |
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フランク・プール | ゲイリー・ロックウッド |
ヘイウッド・フロイド博士 | ウィリアム・シルヴェスター |
月を見る者(猿人) | ダニエル・リクター |
HAL9000型コンピュータ(ハル) | ダグラス・レイン(声)の出演 |
スミスロフ | レオナード・ロシター |
エレナ | マーガレット・タイザック |
ハルヴォーセン | ロバート・ビーティ |
マイケルス | ショーン・サリヴァン |
作戦管制官 | フランク・ミラー |
プールの父 | アラン・ギフォード |
スチュワーデス | ペニー・『ブラームス |
フロイド博士の娘 | ヴィヴィアン・キューブリック |
制作陣
制作・監督 | スタンリー・キューブリック |
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ライン・プロデューサー | ヴィクター・リンドン |
脚本 |
スタンリー・キューブリック アーサー・チャールズ・クラーク |
撮影 | ジョフリー・アンスワース |
追加撮影 |
ジョン・オルコット ギルバート・テイラー(ノン・クレジット) |
プロダクション・デザイン |
トニー・マスターズ ハリー・レンジ アーニー・アーチャー |
特殊効果考案・監督 |
スタンリー・キューブリック ウォリー・ヴィーヴァース ダグラス・トランブル コン・ペダーソン トム・ハワード |
特殊効果 |
コリン・J・キャントウェル フレデリック・マーティン ジョン・ジャック・マリック ブライアン・ロフタス ブラック・ローガン デヴィッド・オズボーン |
編集 | レイ・ラヴジョイ |
音楽 |
「ツァラトゥストラはかく語りき」 リヒャルト・シュトラウス 「美しく青きドナウ」 ヨハン・シュトラウス など |
サウンド監督 | A・W・ワトキンス |
衣裳 | ハーディ・エイミス |
科学顧問 | フレデリック・ I ・オードウェイ III 世 |
原作 |
アーサー・チャールズ・クラーク 「2001年宇宙の旅」ハヤカワ文庫 "2001 : A Space Odyssey" by Arthur Charles Clarke, NewYork, 1968 |
原案 |
アーサー・チャールズ・クラーク 「前哨」 |
映画情報
撮影地 |
英国ボアハムウッド (MGM・ブリティッシュ・スタジオ) |
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配給 |
米映画 カラー(テクニカラー&メトロカラー) シネラマ (スーパーパーナビジョン、1×2.6〜2.8、35mm アナモフィック・ワイドスクリーン版は1×2.35) ステレオ(磁気6チャンネル)/152分(序曲、休憩音楽、終曲を含む) |
米国公開 | 1968年4月6日(MPAA等級:G) |
日本公開 |
1968年4月11日(配給:MGM) 1978年10月28日(配給:CIC、70mm版) 1995年2月3日(配給:日本ヘラルド映画、35mm版のみ) 2001年4月(配給:ワーナー・ブラザーズ、スコープ・サイズ[70mm再現比率]、デジタル・リミックス・サウンド) 2008年6月 |
MGM作品
Copyright © 1968 Turner Entertainment Co., a Time Warner Company. All rights reserved.
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