博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
DR. STRANGELOVE OR : HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB
解説
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』は、スタンリー・キューブリック監督による映画作品である。本編93分。主演ピーター・セラーズ。原作はピーター・ジョージの小説「破滅への2時間/赤い警報」。日本では1964年に公開された。
映画監督スタンリー・キューブリックの経歴が語られる時、主な代表作としてSF映画『2001年宇宙の旅』や『時計じかけのオレンジ』と並んで紹介されることも多い。スタンリー・キューブリック監督作品では、これが最後のモノクローム(白黒)映画である。核兵器の脅威を笑い飛ばすブラック・コメディ映画だが、映画公開当時の1960年代前半は、米国対ソビエト連邦(当時)の冷戦下だった。別名「米ソ冷戦」「東西冷戦」ともいわれる。一方で公開当時の日本は東京オリンピックの開催で列島が沸き返っていた。映画の雰囲気とは合わなかったのか、劇場は歴史的不入りで、上映は数日で打ち切られたという。その他、俳優のピーター・セラーズが1人3役で出演していることがよく知られている
題名は非常に長いが、世界一長い題名の作品ではない。日本では「博士の異常な愛情」のみまでで、以後の「または……なったか」を省いた状態で紹介されることも多い。
あらすじ
米国の戦略空軍基地。リッパー将軍の副官として赴任したマンドレイク英空軍大佐は、突然「R作戦」開始の命令を受けて愕然とする。ソ連攻撃に備えた緊急かつ最高の報復作戦「R」を下令するのだ。基地は完全に封鎖され、厳戒体制がとられた。また哨戒飛行機の全機も通信回路が遮断され、基地からの指令だけしか受けられない状態になり、50メガトンの水爆を搭載、ただちにソ連内の第1目標に機首を向けた。
その直後、大佐は司令官が精神に異常をきたし、敵の攻撃もないのに独断でこの処置をとったことを知ったが、手遅れだった。その頃国防省の最高作戦室では、大統領を中心に軍部首脳と政府高官が事態の処理を巡って激論を交わしていた。議長のタージッドソン将軍は時間の緊迫を訴え、編隊の呼び戻しが不可能な以上、全力をあげソ連に先制攻撃をかける以外道のないことを説いた。しかし、大統領はソ連大使に事情を説明、撃墜を要請した。だが1発でも水爆が落ちれば全世界は死滅する。解体は不可能。米国兵器開発局長官ストレンジラヴ博士はこの存在を証明した。
同じ頃、大統領の命令を受けたガーノ陸軍大佐指令下の部隊は基地接収のため交戦中だった。やがて基地警備隊は降伏、司令官は自殺、マンドレークは呼び返しの暗号を発見した。ミサイル攻撃を受け、通信機に損傷を受けた、キング・コング少佐の機だけは目標に直進していた。地球上のあらゆる場所を核爆発の閃光が彩っていた。
出演者
ライオネル・マンドレーク英空軍大佐 | ピーター・セラーズ |
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マーキン・マフリー大統領 | ピーター・セラーズ |
ストレンジラヴ博士 | ピーター・セラーズ(1人3役) |
“バック”・タージドソン将軍 | ジョージ・C・スコット |
ジャック・D・リッパー将軍 | スターリング・ヘイドン |
“バット”・グアノ大佐 | キーナン・ウィン |
T・J・キング・コング少佐(B52機長) | スリム・ピッケンズ |
デサデスキー駐米ソ連大使 | ピーター・ブル |
スコット嬢 | トレイシー・リード |
ロザー・ゾッグ中尉(B52乗員) | ジェームズ・アール・ジョーンズ |
スタインズ氏 | ジャック・クレリー |
H・R・ディートリッヒ中尉(B52乗員) | フランク・ベリー |
W・D・キヴェル中尉(B52乗員) | グレン・ベック |
G・A・“エース”・オーウェンス大尉 | シェーマン・リマー |
ゴールドバーグ中尉 | ポール・タマリン |
フェイスマン将軍 | ゴードン・トナー |
ランドルフ元帥 | ロバート・オニール |
フランク | ロイ・スティーヴンス |
制作陣
制作・監督 | スタンリー・キューブリック |
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共同製作 | ヴィクター・リンドン |
脚本 |
スタンリー・キューブリック テリー・サザーン ピーター・ジョージ |
原作 |
ピーター・ジョージ 「破滅への2時間/赤い警報」 "Two Hours to Doom/Red Alert" by Peter George (as Peter Bryant), London, 1958 |
撮影 | ギルバート・テイラー |
プロダクション・デザイン | ケン・アダム |
アート・ディレクター | ピーター・マートン |
編集 | アンソニー・ハーヴェイ |
特殊効果 | ウォリー・ヴィーヴァース |
サウンド | ジョン・コックス |
音楽 |
ローリー・ジョンソン“また会いましょう” 作詞・作曲:クラーク・ロス・パーカー ヒュー・チャールズ |
映画情報
撮影地 | 英国シェパートン・スタジオ |
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配給 |
コロンビア モノクローム ワイドスクリーン(1×1.66) モノラル 93分 |
米国公開 | 1963年12月3日 |
日本公開 |
1964年10月6日(配給:コロンビア) 1989年1月13日(配給:日本ヘラルド映画) |
ホーク・フィルムズ作品
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