1999年に他界した映画監督スタンリー・キューブリック追悼サイト。

Tribute to KUBRICK.
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知的財産権の許諾請求を巡る運動・1

もしもキューブリックの写真、及び映画の画像を当サイト上で掲載するとしたら、私が思いつく限りでも、最低限、以下の権利問題を解決せねばならないと思います。複製権、頒布(はんぷ)権、公衆送信権(日本にのみ存在する権利らしいです)、肖像権、同一性保持権……いずれにせよ、著作権保持者の許可が降りないと実現しないことです。

このサイトを立ち上げるにあたり、私は、キューブリックの写真や映画の画像を扱いたいと思いました。“彼がどういった人であるか”を伝えるのには画像が必要不可欠だと思いますし、“映画本編の映像の美しさ”という視覚的な情報は、文字では到底伝えられないからです。そして、どうせ画像を使うなら、正式に許可をもらい、正々堂々と使用したいと思いました。

映画の DVD は幾つか手元にあるものの、キャプチャーを備えていないため、デジタルデータ化した画像を手に入れる手段は、印刷物をスキャンする方法ぐらいでした。私の手元には幾つかの映画のプログラムや資料などの書籍がありました。それぞれにはふんだんに写真が掲載されていましたが、プログラムには「無断転載を禁ずる」と明言されていて、それぞれの書籍の出版社などに2次利用について問い合わせても明確な返事はいただけませんでした。日本著作権センターに確認しても、「ウェブサイト上の利用については管轄外なので分かりかねます」という返事でした。

現在のキューブリックの作品は、米国の映画配給会社のワーナー・ブラザースが権利の管轄を行っているはず。――ワーナーの日本法人のウェブサイトを探した挙げ句、問い合わせ先のメールアドレスを発見した私は、許諾請求のメールを送りました。

知的財産権の許諾請求を巡る運動・2

ワーナーからは数日後に返事のメールが来ました。「許諾の権限は私どもの日本の会社にはなく、米国の本社になる」という、ハッキリしない返事でしたが、「せっかく問い合わせをしていただいたので、できる限りのことをしたい」とあり、後日、なんと、更に詳しい問い合わせ先についてのメールを届けてくれました。「キューブリックの作品の権利は、米国にある Kubrick Estate という団体が現在管轄している。連絡が取れる人のメールアドレスを報せるので、あとは直接、英語で、許諾請求をしてほしい」とのことでした。その人とは、レオン・ヴィタリという方でした(彼がどういう方かは、当サイトの words の欄に軽く説明してあります)。

私はワーナーの方にお礼の言葉を返信するとともに、ヴィタリ氏に宛てて拙い英語のメールを出しました。キューブリック本人の画像と彼の映画の画像を使いたい。できれば無料で無期限で。もしも使用料が発生するなら支払います。よいお返事を下さい。――するとヴィタリ氏からは「可能かどうかワーナーに尋ねてみる。何かあったらすぐに連絡する」という返事が来ました。

実際にその時、ヴィタリ氏がどういった行動を取ってくれたか、あるいは全く行わなかったかは、未だもって知る由もありません。ただ、その時点で私は、キューブリック氏と交流のあったヴィタリ氏と直接メールでやり取りできたわけで、気持ちとしてはもうじゅうぶん満足でした。なにせ私はヴィタリ氏のメールアドレスも知りえたわけですから。正直いって今でも信じられないくらいです。

ただ、そこまでの言葉を英語に訳す力は私にはなく、ただただ感謝の想いをメールで出すと、「感謝すべきなのはむしろ私の方だ。あなたのそういった想い(たぶんサイト設立のこと)を嬉しく思う」という返事が来ました。ただ、多忙な日々を過ごしているとのことで、メールは数ヶ月途絶えました。さすがに不安になった私は、ヴィタリ氏に失礼かもしれないと思いつつ、自分から直接、米国のワーナーに許諾請求をすることに決めました。

知的財産権の許諾請求を巡る運動・3

日本のワーナーの時と同じ、連絡先を知るため、まずは米国のワーナーのウェブサイトを訪ねました。娯楽産業の会社らしく、とにかく細かいデザインで、加えて、全て英語の表記なので、どこをどう探したらいいのか、30分ぐらいはずっとサイトの中をうろうろしていました。見つけたいもの――問い合わせ先のメールアドレス――が見つからず、後半はかなりイライラしていました。ご存知の方も多いと思いますが、ワーナーは AOL や Time と連携しているため、3つの企業の情報が絶妙にリンクしているのです。本当に見つけにくかったです。

やっとこさアドレスを発見した私は、メールで問い合わせました。数日後、ワーナーから連絡が来ました。たぶんこれはどの人にも初めに送る自動返信の類いだと思うのですが、「お問い合わせをありがとうございます。あなたのメールは担当の部署に送られました」といった内容でした。そしてしばらくすると、正式なメールが来ました。ライセンス許諾部署が設けられているので、そこに改めて申請をしてほしいとのことでした。ただ、米国の電話番号と FAX 番号しかなかったので、当然そのままだと日本にいる私には手が出せません。再三に渡るメールで、事業部の住所を聞きだした私は、航空郵便で、許諾申請を出しました。

結果としては、これが画像の使用許諾を申請する最期になりました。

知的財産権の許諾請求を巡る運動・4

1週間ほどのちに、担当部署と思われる Clip and Still Licensing の Director を務める Marlene Eastman さんから、以下の内容の、紙の便りが届けられました(一部抜粋)。

Please be advised, as a general policy, Warner Bros. Entertainment Inc. does not license stills for use on non-Time Warner websites and we do not wish to make an exception to our policy in this instance.

I am sorry that we cannot be of assistance.

私なりの大ざっぱな意訳ですが、だいたいこんな風の文章だと思います。――助言させていただきますと、規定に基づき、ワーナーブラザースでは、タイム・ワーナーではないウェブサイトへの画像の許諾は、一切行っておりません。尚、弊社では、このお問い合わせについて、特例措置を講じる意向もありません。助けになれずに申し訳ありません

早い話が、画像の使用は一切認めない、例外もありえない、ということです。いちるの望みが半永久的に断たれた格好で、すごく残念だという思いは強いのですが、その反面、私のような一個人に対して、文書という正式な形で回答を寄越して下さったワーナーの企業姿勢(日本、米国両者)とヴィタリ氏には大変感謝する想いでいっぱいです。

実は以前、別件で、似た感じの問い合わせをディズニーへも電話で行ったのですが、「ご遠慮いただいております」「分かりません」の一点張り。いずれも、確認さえせず、即答の返事でした。あくまで主観的な感想ですが、マニュアルを棒読みした口調で、見下した感じでした。全然こちらの言葉に耳を傾けてくれる様子でなく、心ある対応とはお世辞にもいえないものでした。伺った質問の中には、「ネチケットの範囲で一般的に認容、許容されている」「米国でも日本でも、現行の法律や判例では必ずしも違法と判断されないもの」も含まれていたにもかかわらず、です。メールで問い合わせた際は更にひどく、5年以上経過した現在も全く返事がきていません。宛先人不明のエラーが発生していないので先方には届いているはずです。問い合わせに対する粗末な対応が企業イメージを台無しにしている意識がないのでしょう。

ちなみに「ディズニーランドで撮影した写真を、個人で運営する自分のサイトに掲載したいが、問題ないでしょうか」という全く同じ質問を、日付を変えて同じ電話窓口「東京ディズニーリゾートインフォメーションセンター」に問い合わせたところ、ある方は「全く問題ありません。良い出来に仕上がったらお知らせくださってもいいですよ」と明るくお答えになり、またある方は「建築著作権に関わるかもしれないのでご遠慮いただいております。ディズニーという固有名詞について、勝手にサイト内で使った場合、法律に触れるかどうかは詳しくは分かりません」と、脅しとも取れる発言を、粛々とおっしゃいました。対応する方によって、ここまで違う対応をする窓口も珍しいのではないのでしょうか(ちなみにそれぞれの電話問い合わせについては記録を取っていないので、詳しく聞かれても答えかねますのであしからず)。

ディズニーは、自社の新作映画が他人の作品の模倣だと指摘されても「そんな作品は知らない。見たことも聞いたことも全然ない」と徹底してシラを切り、そのくせ自分たちの著作物の権利は、自分たちに都合のいいように法解釈を駆使し、圧力をかけて米国の法律を変えさせてでも、何が何でも頑なに守ると聞きましたが、それはかなり当たっていると思います。著作権保護の延長を主張する一方で、シンデレラや人魚姫などのパブリックドメインを、あたかも自社オリジナルブランドであるかのように宣伝・販売したり、勝手な続編を創作したりする、明らかに矛盾したビジネス手法も批判されています。ディズニーは世界中のマスコミに圧力をかける部分があるので、報道されることは少ないのですが、世界中で著作権問題で訴訟を起こし、また、起こされています。代表例は幾つもありますが、たとえば検索エンジンで「ミッキーマウス保護法」で探ると詳しいサイトがヒットするでしょう。

ワーナーもディズニーも、同じ米国の娯楽産業の大手の企業で、結果としてはどちらも自社の著作物の権利保持に執拗にこだわっていることに変わりはないのですが、ディズニーはすごく冷たくて門前払い同然の振る舞いなのに対し、ワーナーはすごく丁寧にこちらの意見を聞いたうえでの拒否、という感じがして、悪い印象は全くありません。ディズニーみたいにひどく扱われるか、もしくは全く返事をいただけないという最悪の事態も予期していたので、ワーナーの礼儀を伴った丁重な断りの返事は、逆にすごく恐縮でした。

別に私は「反ディズニー主義者」「ワーナー至上主義者」というわけではないのですが、著作権問題の話に限っては、ディズニーの姿勢にはどうしても疑問や不信が多く残ります。ただ、著作権保護機能に重点を置く BD (ブルーレイ・ディスク)に賛同するあたり、著作物の権利を護ろうという姿勢そのものは、企業風土として評価しています。完全に嫌いというわけでは決してありません。

ワーナーとヴィタリ氏には、いろいろして下さったお礼の言葉とともに、当サイトの名前と URL を記したメールをすでに送っています。したがって先方は当サイトの存在をご存知のはずです。

当サイトの原則、および鉄則

以上のことを踏まえて、当サイト内では、映画の画像やキューブリック氏の画像は一切使用していませんでした。

著作権は親告罪なので、たとえ無断使用しても、訴えられないかぎりは罪は成立しないのかもしれないですが、「死を追悼する」といっておきながら故人の著作権を侵害するのは、何よりも故人やその作品を冒涜している気がするのです。

当サイトは、様々な方々や企業からの情報を構成、拝借することで成り立っています。もしもそれらを利用したい場合は、私には許諾をする権限がないので、それぞれの著作権保持者に直接ご連絡ください。私に帰属する権利は、プロローグとエピローグの文章ぐらいです。

映画などの画像が使えない分、イメージ画像でどうにか補えないかと思った結果、浮かんだのが花の画像でした。知識のある方はすぐにお分かりだと思いますが、当サイトで掲載している花の画像は、全て、喪の場で使われる類いの花の写真です。他にはカメラや三脚の画像を探したのですがなかなかいいのが見つからず、その一環としてカール・ツァイス社に、同社のサイト上で掲載している製品の画像の使用申請をしたところ、こちらも丁重に断られました。


目ぼしい画像のないまま、何年かサイトの運営をしていたのですが、知り合いの方のブログで、アマゾンの広告が掲載されているのを見た時に、ふと思いつきました。「広告」としてビデオパッケージなどをウェブサイト上に出せば、たぶん違法ではないだろうし、場合によって収入もあるかもしれない、と。それをきっかけとして、2007年3月のサイトのリメイクにあたり、一部のページにおいて、広告をつけることを決めました。すでに、検索エンジンやメールサービスに Google を利用しているので、同じ ID とパスワードを使えるようなら、同社の広告サービスのアドワーズを使おうかと思ったんですが、" Ad Words " という名前のとおり、文字だけの広告のため、意味がなく、アマゾンの広告を採用しました。

映画作品の紹介にはビデオパッケージがくるように、キューブリックの顔写真がほしいところにはキューブリック関連の何かがくるように、できる限り操作をして配置しました。初の試みなのでどう転ぶか分かりません。あんまりにも不評で収入もないようなら、また外すかもしれません。

有名人を扱っているサイトですが、自分の好きなように運営している部分も多いので、他者からの干渉は受けたくないのが本音です。たとえばサイトの維持費として年に3150円かかります。これを、自費は嫌だといってスポンサーを求めたら、運良く誰かが名乗ってくれたとしても、それから先はスポンサーの意向をある程度気にしながらサイトの運営を進めねばならなくなります。そんなのは嫌です。

これまで当サイトは、掲示板もメールフォームも設置していましたが、1日に5000を越えるアクセスの日でも、ほとんど利用されたことがありませんでした。閲覧者が全然意見してくれないサイトです。なので、広告についても、まったく意見がなく、広告収入も、あったとしてもサイトの維持費を賄うほどではないだろうと予測しています。


それでも、画像を含めることができた、という点で、ようやく一歩前進できた気がします。でもこれがギリギリのラインだと思うので、これからも、著作権などを侵している危険性を孕むぐらいなら、たとえどんなに地味でも、画像などを増やすことはないと思います。


Latest Update : March. 7th. 2008.

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1999 年に他界した映画監督スタンリー・キューブリックの非公式追悼サイト。

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