Tribute to KUBRICK.

https://filmmaker.web.infoseek.co.jp/

Since March 7th, 2004.



WORKS.
時計じかけのオレンジ

Copyright © 1971 Warner Bros. and Polaris Productions Inc. All rights reserved.


物語

近未来の英国、ロンドンの都市。秩序は乱れ、治安状態は悪化し、性道徳は退廃の極にあった。そして町には夜な夜な少年ギャングの群れが横行していた。

15歳のアレックスを首領とするディムとジョージーの一味は、夜ごと町で暴れ回っていた。手始めに、橋の下で酔いつぶれる浮浪者の老人を袋だたきに。暴挙の限りを尽くして爽快になったアレックス一行は、別の獲物を探して去っていく。荒れ果てたカジノの舞台では、ライバルの飛行少年グループの一団が、ひとりの女性を囲み衣服を剥ぎ暴行していた。そこへアレックス達が殴り込みをかけて大乱闘へ。さらにスポーツカーで突っ走る。やがて郊外の他人の邸宅にあがりこんだ彼らは、覆面姿で暴力行動を開始。主人の作家アレクサンダーの目の前で彼の妻の衣服を剥ぎ取り陵辱。こうして一晩を過ごし、アレックスは大好きなベートーベンの第9交響曲を聴きながら幸せな眠りにつくのだった。

ある日、些細なことから部下のディムとジョージーが反抗した。猫一杯の老婆の家に押し入った時、アレックスを裏切り、警察に売ったのだ。

刑務所でのアレックスは、聖書を読む模範囚だったが、その実自分に都合のいい妄想を描いていた。

その頃、政府は凶悪な犯罪者の人格を人工的に改造するルドヴィコ療法を行うことにした。アレックスはその第1号に志願。それは特殊な薬物を注射した上で衝撃的な映像を見せ、そのショックから生理的に暴力や強姦が耐えられないような肉体に改造するといった方法だった。連日にわたる治療。舞台のアレックスに男が乱暴する。殴りかえそうとした彼だが吐き気を感じてできない。セックスに対しても。その上、音楽を聴いただけで同様に激しい嫌悪感に襲われる。大人しい、無害な人間に変わった彼は釈放された。

自宅に戻るがジョーという青年が自分の代わりに両親と同居していて、諦めざるをえなかった。町をさまようが二人の警官につかまる。かつてのディムとジョージーだった。二人に暴行されたアレックスは瀕死の状態で一軒の家に辿り着く。そこはアレクサンダーの家だった。

快くアレックスを迎えるが、彼があの時の犯人だとアレクサンダーはすぐに気づく。アレクサンダーは事件以来妻を亡くし、自身も下半身不随の状態での生活を強いられていた。自分の所属する反政府運動の道具にアレックスを使おうと一計を案じる。

翌朝、部屋に閉じ込められたアレックスは第9交響曲の響きで目を覚ました。別の場所からアレクサンダーがレコードを流していたものだった。アレックスは拒絶反応が高ぶり、窓から飛び降りる。

アレクサンダーの狙いはアレックスを自殺に追いやることで個人的な報復を遂げると同時に、人格矯正法という非人間的な行為を行った政府を攻撃して失脚させることだった。しかしアレックスは一命を取り留め、アレクサンダーは逮捕。

失脚を恐れた内務大臣は、アレックスを元通りの人間に戻すと発表した。

やがてアレックスは、セックスとベートーベンの第9交響曲に、再び、歓びを見出した。


出演者

アレックス

マルコム・マクドウェル

アレグサンダー氏

パトリック・マギー

看守長

マイケル・ベイツ

ディム

ウォーレン・クラーク

舞台女優“ラードフェイス”

ジョン・クライヴ

アレグサンダー夫人

アドリエンヌ・コリ

ブロドスキー博士

カール・デュエリング

ホームレスの老人

ポール・ファレル

下宿人ジョー

クライヴ・フランシス

刑務所長

マイケル・ゴヴァー

キャット・レディ

ミリアム・カーリン

ジョージー

ジェームズ・マーカス

デルトイド氏

オーブリー・モリス

パパ

フィリップ・ストーン

ママ

シェイラ・レイノー

警官

スティーヴン・バーコフ

刑務所の教戒師

ゴッドフリー・キグリー

ブラノム博士

マッジ・ライアン

反体制活動家

ジョン・サヴィデント

マーガレット・タイザック

内務大臣

アンソニー・シャープ

ビリーボーイ

リチャード・コノート

ジュリアン

デヴィッド・ブロウズ

女優

ヴァージニア・ウェゼル


制作陣

製作・監督

スタンリー・キューブリック

製作総指揮

マックス・ L ・ラーブ

サイ・リトヴィノフ

共同製作

バーナード・ウィリアムス

製作助手

ヤン・ハーラン

脚本

スタンリー・キューブリック

原作

アンソニイ・バージェス

「時計じかけのオレンジ」ハヤカワ文庫

"A Clockwork Orange" by Anthony Burgess, London, 1962

撮影

ジョン・オルコット

プロダクション・デザイン

ジョン・バリー

アート・ディレクター

ラッセル・ハッグ

ピーター・シールズ

編集

ビル・バトラー

衣裳デザイン

ミレナ・カノネーロ

サウンド編集

ブライアン・ブラミー

録音

ジョン・ジョーダン

ダビング・ミキサー

ビル・ロウ

エディ・ヘイベン


映画情報

ワーナー + ホーク・フィルムズ作品

撮影地

英国

パインウッド・スタジオなど

配給

ワーナー

カラー

ワイドスクリーン(1×1.66)モノラル、137分

米国公開

1971年12月20日( MPAA 等級: R )

日本公開

1972年4月29日(配給:ワーナー)

1979年8月11日(配給:ワーナー)


解説

SF 大作『2001年宇宙の旅』の次に製作された映画。前作と違う姿の近未来像を、少人数、低予算で描いている。

近未来の英国を舞台に、不良少年のアレックスを中心に、国家機関への皮肉、人間を統制するすることの危惧などの様々な主題が描かれる。

色彩感覚、構図、舞台セットや登場人物の服装が特に際立つ作品で、ちょっと古めかしい感じもするが、制作されたのが1970年代の初めということを念頭に置いてみると、逆に時代を経ても風化していない美がそこにあることが分かってくる。

話を深読みしないで予備知識もなしにただ眺めていると、お洒落に演出された少年犯罪映画っぽくもある。暴力礼賛映画にも見える。しかしアレックスが不良少年仲間と交わす独特の用語「ナツァト言葉」1つ取っても、周到に計算された秘密が幾つも用意された映画である。

この映画で有名な場面の1つに、アレックスが「雨に唄えば」を大声で歌いながら女性を強姦する場面がある。女性には、夫の目の前で犯され、その後、感染した性感染症で死ぬという運命が待っている。その後アレックスが矯正され、最後にはまたセックスやドラッグに溺れる場面で終わり、スタッフ紹介の画面に切り替わるが、そこで出てくる曲が、ジーン・ケリーによる「雨に唄えば」を原曲そのままで。その演出を悪趣味と見るか凝った芸術とみるかは人それぞれだが、これを体験した後だと、「雨に唄えば」という曲に対して妙な印象を抱くことになるかもしれない。

題名の原題 Clockwork Orange とは英国のロンドン訛り、コックニー(日本語でいえば「てやんでぇ」「べらぼうめ」のような下町の江戸っ子言葉のようなものらしい)からのもので「時計じかけのオレンジのように奇妙な」「時計じかけのオレンジのようにつまらない」という意味から来ているという。話の中でアレックスが無理やり凶暴性を削がれた揚げ句に「奇妙な」「つまらない」人間になってしまうため、人格統制行為を風刺した題名だと推測できる。また最近の気の利いた英語の辞書では「科学によって個性を失いロボット化した人。バージェスの小説より」という説明があるらしい。

この物語は、バージェスの創作小説をキューブリックが映画化したものである。現在、映画は DVD やビデオなどの媒体で、小説については早川書房より刊行の文庫本で堪能できる。が、実はこの作品、映画にも小説にも登場しない、最後の結末が(もちろんバージェスによる)用意されている。


トップ > 映画 > 時計じかけのオレンジ


BETA

The unofficial website for mourning about Stanley Kubrick, the film director.

Run as from March 7th 2004 by 451f. Made with Macintosh. https://filmmaker.web.infoseek.co.jp/

"Tribute to KUBRICK."


当サイト内   


Made on Mac.

Mac、Mac ロゴは、米国およびその他の国で登録されている Apple Computer, Inc. の商標です。

Made on a Mac バッジは Apple Computer Inc. の商標であり、同社の許可により使用しています。


All flower pictures are courtesy by つるのフラワーチェーン. A camera picture is courtesy by ビジュアルアーツ専門学校・大阪.

All musics are courtesy by Ikemy's. Other archives are courtesy by 読売新聞社, All Cinema OnLine, and キネマ旬報社.


Copyright © 2004 Tribute to KUBRICK. All rights reserved.