Tribute to KUBRICK.

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Since March 7th, 2004.



WORKS.
アイズ ワイド シャット

Copyright © 1999 Warner Bros. All rights reserved.


物語

現代の米国、ニューヨーク。裕福な内科医のウィリアム“ビル”・ハーフォードは、美しい妻のアリス、娘のへレナと共に幸せに暮らしていた。

ある晩夫妻は、ビルの患者の1人であるヴィクター・ジークラーに招待されたクリスマス・パーティへ出掛ける。その際、ビルはジークラーの情事相手でドラッグ中毒の若い女性ドミノを介抱する。

帰宅後、アリスはビルとの情事のさなか、マリファナを吸いながら告白する。以前家族旅行で行ったホテルで、一瞬視線を交わした海軍士官に心を奪われ、ビルに抱かれながらその海軍士官のことを考えていた、と。「もし彼が私を必要としたなら、全てを捨てて彼と一夜を過ごしたわ」……アリスの言葉に言葉を失うビル。そこへ電話がかかってくる。ビルの患者の家族からで、患者が亡くなったという報せだった。

お悔やみの言葉をいうべく家を飛びだすビル。患者の家族の元に向かう途中のタクシーの車内でもアリスの告白に動揺を隠せず、やっと着いた先では遺族の女性マリオン(身内の突然の訃報に混乱状態)から愛の告白を受ける。マリオンを落ち着かせ、再び外へ。夜のダウンタウンを彷徨い歩く。

偶然にも旧友のニック・ナイチンゲールが働くバーを見つけたビルは、彼と酌を交わす内に仮面舞踏会の形式の秘密クラブの存在を知る。強引に詳細を聞きだしたビルは、貸衣装屋「レインボー」で黒装束と仮面を借り、郊外の邸宅へ。そこでは同じような格好(黒装束&仮面)で男性や女性がところかまわずセックスを繰り広げていた。

様子に驚くビルに、女性の1人が「ここはあなたの来るところじゃない。帰って」と助言するが、ビルはもぐりこんだ異邦人だとばれてしまい、全員の前でマスクを取らされ、全裸になることを要求される。しかし助言した女性が自ら名乗り出てビルの身代わりになると宣言。ビルは開放される。ほうほうのていで帰宅するが、翌日の新聞にドミノの死亡を報じる記事が。

死体安置所でドミノの遺体を目の当たりにしたビルは、秘密クラブの女性=ドミノだと確信。その後ジークラーに呼び出されたビルは、ジークラーも秘密クラブにいたことを聞きだすが、邸宅でのことを口外しないように圧力をかけられる。そして帰宅するが、うなされながら眠る妻の横には、昨晩自分が使ったマスクが。妻を起こすと、アリスは自分が今まで見ていた悪夢を語りだす。泣きながらアリスを抱きしめて全てを告白するビル。

翌日、娘を連れて夫婦揃って玩具売り場でクリスマスの買い物をする。「これから僕たちはどうしよう?」と問い掛けるビルに「危険な冒険から帰ってこられたことを感謝しましょう。そして帰って大切なことをしましょう」とアリスは答える。大切なことって? ビルが更に尋ねる。

アリスは正面からビルを見て真面目な表情で答える。「フooク」。


出演者

ウィリアム(ビル)・ハーフォード

トム・クルーズ

アリス・ハーフォード

ニコール・キッドマン

へレナ・ハーフォード

マディソン・エジントン

ヴィクター・ジークラー

シドニー・ポラック

ラズロ

ジャッキー・ソウィリス

ニック・ナイチンゲール

トッド・フィールド

マンディ

ジュリエンヌ・デイヴィス

マリオン

マリー・リチャードソン

カール

トーマス・ギブソン

海軍士官

ゲイリー・ゴーバ

ドミノ

ヴィネッサ・ショウ

ミリチ

レイド・シェルベッジア

日本人の男1

トウゴ・イガワ

日本人の男2

エイジ・クスハラ

ミリチの娘

リリー・ソビエスキー

謎の女

アビゲイル・グッド

サリー

フェイ・マスターソン


制作陣

製作・監督

スタンリー・キューブリック

製作総指揮

ヤン・ハーラン

ライン・プロデューサー

ブライアン・ W ・クック

脚本

スタンリー・キューブリック

フレデリック・ラファエル

原作

アルトゥル・シュニッツラー

「夢小説」岩波文庫などから

"Traumanovelle" by Arthur Schnitzler, Vienna, 1926

撮影

ラリー・スミス

プロダクション・デザイン

レス・トムキンス

ロイ・ウォーカー

アート・ディレクター

ジョン・フェナー

編集

ナイジェル・ガルト


映画情報

ワーナー + ホビー・フィルムズ作品

撮影地

英国

パインウッド・スタジオ

配給

ワーナー

カラー(デラックス)

ワイドスクリーン(1×1.85)

ステレオ(ドルビー SR-D 、 DTS 、SDDS )、159分

米国公開

1999年7月16日( MPAA 等級: R )

日本公開

1999年7月31日(配給:ワーナー、映倫等級: R- 18)


解説

スタンリー・キューブリックの遺作。現代の米国のニューヨークを舞台に、若い夫婦間の嫉妬と性的妄想を巡る映画。 R 指定(18歳未満観賞禁止)にされているのは、本編で女性の裸体が登場するため。

題名の由来の説の1つとして、英国の文豪ウィリアム・シェイクスピアの「テンペスト」からの引用ではないかという話がある。

This is a strange repose, to be asleep with eyes wide open.

不思議な眠りようがあるものだ、目を大きく開けて眠っている(福田恆存 訳)

Eyes wide shut. という言葉は、むろん意味が成立しない文章だが、この言葉に当てはめてテンペスト(嵐の意味)とキューブリック映画との因果関係を探ってみるのもいいかもしれない。

知り合いの帰国子女に意味を尋ねたところ「強引に訳すと“大きく閉じた目”というような意味」「見たいけれど見てはいけない気持ちを表していると聞いたことがある」と教えられた。

制作にあたり、撮影に18ヶ月、編集に1年を費やした。撮影と編集は厳密な秘密主義の下に進行され、はじめにニューヨークで行われた試写会の際も観賞できたのは夫婦を演じたクルーズとキッドマン、そして配給会社のワーナーの2人の会長の計4人だけ。映写技師でさえ、上映が始まると部屋から追い出されるほどだったという。

この映画では、クルーズとキッドマンの人気俳優夫婦(現在は離婚)が、夫婦役で出演していることが話題になった。加えて物語が、夫婦それぞれの恋愛やセックス観についてを、映像で表現したもの。映画では仮面密会が開かれてもの凄く妖しげな雰囲気に包まれて、これからイケナイことが起こりそうな雰囲気になる。しかし結局何も起こらず、夫婦は「危険なことを無事乗り越えてきたのだから、これからまた仲良くやりましょう」と言って終わってしまう。

DVD では、特典として、1999年にハリウッドのホテルで、スティーブン・スピルバーグ監督、クルーズとキッドマン夫妻(当時)の3者に対して行われたインタビューが収録されている。3人とも故人と深く面識があるため、それぞれのキューブリック論や在りし日の想い出を展開するが、中でもキッドマンは、19分以上に及ぶインタビューの終盤で、「彼の死を聞いた瞬間どう思いました?」と尋ねられ、涙をこらえながら「ショックで……信じなかった」「スタンリーは映画に生涯を捧げた人」と語っている。


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